「おはよう!!」
教室でも一際目立つ、明るい声が聞こえた。
友達の麻美が、前の席に慣れたように腰かけて、
私に笑いかけた。
久々に見る友達の顔は新鮮で、妙に嬉しかった。
「おはよ」
笑顔を返したつもりだったけど、麻美は怪訝そうな表情をして
私の顔を覗き込んだ。
「どうしたの?靖子、元気ないじゃん。クラス替えが心配??」
確かに、心配といえばそうかもしれない。
「不安だよー、だって
麻美と離れちゃったらやってけないもん」
ふざけて、麻美の腕を掴んでぶらぶらとした。
麻美はふふ、と笑って
「大丈夫だぁよーだって靖子と同じクラスになるように、願かけてきたからね」
そう言って、手首に巻いたミサンガを誇らしげに見せる。
赤と白の刺繍糸で
丁寧に編まれたそれは、麻美の手作りらしかった。
得意気な麻美の笑顔が可愛くて、自然と笑みがこぼれる。
「ありがとね」
真面目に返すと、麻美は一瞬奇妙な顔をしてからまた笑顔に戻った。
