……いや、違う。 ……目の前に居る人は、果たして本当に『人』なのか? 何故、たった一人の人間に ここまでの畏怖の念を抱く? 沼地に入った時に感じた感覚。 まるで恐ろしい化け物が、薄暗い 沼地の奥で、獲物が現れるのを 待っている様な、あの空気が。 あの空気が、 この空間に充満していた。