お姫様と若頭様。【完】






「はぁ〜…」



よく考えたら私、何も出来なくない?



聖ちゃんに刃物突きつけられている
時点で、私も彩狼も何も出来ないし。





仕方なく帰ろうかな、とも思ったけど
聖ちゃんは聡さん達の娘だし…。





何とかするしかないよね…?












『プルルル…プルッ『もしもし…』


2コールが終わらないうちに出た彼。





「あ、もしもしソウ?」



ソウとは池谷 宗志(いけがや そうし)

紅蓮の副総長で頼りになる頭脳派
優しくて面倒見がよくて
紅蓮の皆のお兄さん的存在

高校3年で私とは違う学校
凱瑠とも知り合いで
聡さんのことを凄く尊敬している




『あぁユズか。どうしたんだ?』

と優しそうな声になるソウ。


本当に仲間思いで仲間に凄く優しい。



「今どこ?


…って聞かなくても分かるわ。



どうせ彩狼の倉庫でしょ?



どう?怪我人とかは?」




『あぁ…まぁまぁだな。


思ったより怪我人は少ない。


武器は最初に殆どが回収出来たそうだ。



ただ隠し持ってたのもあって…
何人か病院に送った。


俺と美紀と茶芽と功明で来たんだが
もうこっちは誰もいない。


ユズは今、どこにいるんだ?』


状況を的確に話すソウ。



「今倉庫の前。


確かこの倉庫は8番倉庫かな?
一番奥の右側だよ。


今残ってるのは彩狼幹部と
赤司達の方が多数。

彩狼のうち2人は傷を少し負ってて
全員体力が落ちてる。

総長と副総長くらいか、
普通に戦えるのは。



プラスで彩狼は姫が捕まってる。



今何も出来ない状況。



相手が凶器持ってるから
私も下手に近づけない。


今はとにかく動けない。



どうにかしてあいつ…赤司の気を
逸らして欲しい。


後は私がなんとかする」



今最優先すべきは彩狼の安全確保。


例え姫が解放されても
このままだとやられるのも時間の問題。





ソウ…頼んだ……。