この声は…会長…?
声のする方へ近づいてみると…
あっ、なんかヤバくね?
急いで駆け寄ると会長が
副会長に迫られているところだった。
明らか嫌がっている会長と
無理矢理キスしているあいつ。
「生徒会役員が道端で
会長を襲ったなんて、
先輩、
明日の学校新聞の記事独占ですね」
気がついたらかなり低い声で、
話しかけていた。
その声にビクッと反応するあいつ。
会長は無表情でこちらを見ている。
会長は驚かねぇのか?俺の変貌に。
「あ、お前確か…」
とやっぱり一人驚くこいつ。
…こいつに本性バレるとかマジ嫌。
…しらばっくれるか。
「先輩っ、ダメじゃないですかぁ、
こんなとこでそんなことしたら。
仲良いのなら
もっと隠れてやってくださいよぉ〜。
皆にまだ付き合ってること
報告してないんですよね?
二人が付き合ってるって
噂流れちゃいますよぉ♪」
…いやいや、
完全に襲ってたけどな、こいつ。
「…は?」
状況が理解できていないのか
アホい顔をしたこいつ。
音をつけるとしたらポカーンかな。
超アホヅラ。
「僕もうお邪魔っぽいので
お先失礼します。
さようならぁ、先輩。
…それと、会長さんっ♪」
そう言って視線を会長に移すと
普段とは違う冷めた目で見られた。
…同一人物?
この人があの会長…?
普段はニコニコしててもっとこう…。
すると会長は急に冷めた目を止め、
「ごめんなさいね、如覇君。
ありがとうございます。
さようなら」
ニコッといつもの笑顔を作った。
…え、なに今の?
マジで多重人格?
もしかして別人?
そう思うほど彼女の態度は真逆で、
彼女は本当の彼女でないと
錯覚しそうになった。
もしかして僕と同じく…
キャラを作ってるの?


