「彼氏が面子にいるって言ったでしょ?
…その所為、っていうか…。
女子からの妬み。…今のあなたと同じ。
私ね、彩狼の傘下の総長やってるんだ。
それね、結構最近の話なの。
前は弱くて…地味で暗くて目立たない、そんな奴だったんだ。
でも彼は好きって言ってくれて…。
今は勿論好きなんだけど、
当時私、他に付き合ってる奴いてさ〜。
断っちゃったんだよね、それが!
…だけどあいつは諦めなかった。
その時の彼氏、少し暴力的だったの。
だから彼は私の傷に気づいて救って奪うって言ってくれたんだ。
そしたらそいつ、
ホントにやったんだよ!
マジでぶっ飛ばしちゃったの!
その時なんか元カレのことなんか
どうでもよくなっちゃって。
…一瞬で恋に堕ちた。
かっこよかったの。
私を守ってくれる背中が。
だけど、彼と付き合ってからは、
また苦労ばっかだった。
毎日呼び出しの嵐だよ。
なんせあの彩狼の面子と付き合ってるだけで女子にしたらステータスで。
そんなの考えてる奴らに負けたくないって思ってたんだけど…」
そう言って言葉を濁した廻坂さん。
その顔は、苦悩で歪んでいた。
「彼にそれがバレて…あの時のキレ様は
本当に凄かった。
女子たちに殴りかかろうとしたの。
彩狼は一般人への暴力禁止でしょ?
私の所為で彼が抜けるなんて…。
そんなこと、絶対ダメだと思った」
そう語る彼女は当時を思い出しているのか目にうっすらと涙が浮かんでいた。


