彼女に連れ出されて来たのは屋上。
今日は曇っている所為か、誰もいない。
…というよりここに来たのは初めてだ。
そこで彼女に無理やり今までのことを
話させられた。
「全部吐かねぇと一生家帰らせねぇぞ」
という族の睨み付きで。
話を淡々と語る私。
そんな私の表情を伺いながら、
真剣に聞く廻坂さん。
そして話し終えると突然、ずっと黙っていた廻坂さんの口が開いた。
「……あたしは…彩狼の皆、信じてる。
実はあたし、彩狼の面子に彼氏いんだ。
それも中学からずっと付き合ってんの。
こんなあたしが?って思う?
意外と一途なの、あたし。
浮気もお互いしたことなくて、
喧嘩はよくするけど
別れようなんて言葉があたしたちの間で出たことは一度もないの。
勿論思ったこともないよ。
彼の一番好きな所は、
一番にあたしを優先してくれるとこ。
あたしの考えを理解してくれて、
優先してくれる。
だけど、間違えたら正してくれる。
お互い信じてるし、やっぱり……好き…
だから、二人とも自分より相手が大事。
そのことでよく喧嘩しちゃうんだ。
自分を大切にしろ〜!ってね」
彼のことを語る彼女の目は
キラキラしている。
好きと言う時少し濁した彼女は
乙女そのもの。
言葉は濁していても、
気持ちははっきりしている。
だけど、なんでこの話を?
「……私、いじめに遭ってた」
衝撃的な言葉だった。
誰よりも明るくて正義感の強い彼女。
そんな彼女がいじめられてたなんて
…全く想像つかない。
慰めなんかで言ってるんじゃないって
ことは、彼女の真剣な瞳で分かった。


