お姫様と若頭様。【完】






次の日私が家を出ると、家を出て少しした所に車が止まっていた。


関係ないと思って横を通り過ぎようとすると突然開いた扉。





「あっ…」


「おはよう、聖ちゃん」


それは昨日席を譲ってくれた彼だった。








「送ってもらっちゃってすみません。


…少し離れた所で降ろしてもらってもいいですか?」


校門前で降りたりしたら嫉妬の目を向けられることは確実だ。



「…ごめんね、命令なんだ」


だけど申し訳なさそうに謝って承諾してくれない。






「……正直、
もう会うことはないと思ってました」


沈黙が辛くて出た言葉は、
もっときつい雰囲気にさせるもの。

気が利いたことひとつ言えない自分に妙にイラついた。



「…ごめんね、
姫ってそういうものだから」



謝ってばかりのこの人。

謝って欲しいわけじゃない。