エレベーターから降りると見えて来たのは複数の部屋。
ここは初め通った所よりなんとなく豪華な造りの空間。
そして一つの大きな扉。
彼は迷うことなくその大きな扉に手をかけると、一気にそこを開いた。
そこには複数の男の人がいた。
それを見た瞬間、大きく体が震えた。
あの時の光景が蘇ってしまったのだ。
男たちの気持ち悪い濁った目。
肌を伝う生温かい舌、唇。
荒い息遣い。
行動を封じる手と、体を弄る手。
あの光景を忘れられるはずがなかった。
「はぁっ…はぁ…っ…はっ…」
息が…苦しい。
「おっ、おいどうした?」
扉を開けた時右の方に座っていた男の人が近づいて声をかけてくるけれど、それすら怖かった。
「やっ…ぃやっ…はっ…はぁっ…」
近づいて来ないで。
私に触れないで。
私を見ないで…。
もう…放っておいてよ!


