「凱瑠は?」
「あ?あいつは今…」
そう言って煙草を吸うジェスチャーを
するゆーちゃん。
「え、凱瑠が?
止めたんじゃなかったの?」
「いや、半年前から吸ってるぞ?」
半年前というワードに
ビクッと反応する。
半年前と言ったら
私が倒れて少し経った頃。
…もしかして私の所為?
ほのちゃんの為に止めるって
言ってたのに…。
「そ、そっか。凱瑠っていつも何か続けるの苦手だったもんね」
「まぁな、あいつ飽きっぽいし」
私の所為だ…。
「…ごめん、ゆーちゃん。
私少し眠いから寝るね。
心配かけてごめんなさい」
ぺこりと頭を下げると
布団に潜り込んだ。
もっともっと私が周りを見ていたら…。
そんな思いが頭を駆け巡る。
何をやっても失敗する私は、
本当に愚か者。
誰かの為にと思って行動すると
必ず誰かを傷つける。
誰かの為に…なんて、私にとってただの
自己満足でしかないのに。
「楪」
「…わかってる。
今日はもう仕事しないから」
私が仕事をすると思ったのか
釘を刺すゆーちゃん。
本当に厳しいなぁ、ゆーちゃんは。
「…変な気起こすなよ」
「なによ、変な気って……」
わかってて…
わかってて言ったんでしょう?
パタンと静かな音を立てて閉まった扉。
「約束なんて、守れない」
私はきっと皆を悩ます天才だね。


