彼女が目覚めて学校へ来て。

それでいつか思い出すだろうと
思っていた馬鹿は俺だ。



必死に彼女を捜したし、捜させた。


彼女が行きそうな場所を
1つ1つ見て行く。

でもなかなか彼女は見つからない。



「どこ行ったんだよ…楪」


彼女の友達の坂月に聞いてもどこかへ
走って行ったとしかわからない。



今までこんなこと1度もなかったのに。


彼女はいつも苦しい時
ひとりになる癖がある。

きっと今も何か抱えて…。

それは考え過ぎなのだろうか?




念のため保健室へも向かったがいない。







「きゃーっ!峯ヶ濱様ッ!!」




女子の声が聞こえて
急いでそちらへと駆け出す。




そこにいたのは女子1人。










そして青白い顔で横たわった楪の姿。





何を…間違えてしまったのだろうか?

なぜ彼女は大丈夫だと
思ってしまったのか。


こんなにも痩せて小さな体で
必死に生きようとしていたのに。



なぜ彼女の変化を1番近くにいて
気付いてやれなかったのだろうか?


後悔してもしきれないどうしようもない
気持ちが心を支配する。




「ちょっとごめん。
ここは大丈夫だから任せて」


「りっ理事長様…」

女の子の不安そうな顔。



「大丈夫だよ、多分軽い貧血。

…このことは誰にも言わないこと。
さぁ、急いで戻って」

「は、はい…」

軽く会釈をした後急いで戻る女の子。




楪の顔色を伺う。


…凄く青白い。

額に汗を滲ませて苦しそうで…。

そんな彼女に、俺は何もしてやれない。



ープルルルルル

「もしもし、悠山か?

今楪が学校で倒れた。
そっち今から行けるか?」

『ったく、なにやってんだ。

今こっち空いてるからすぐ来い。
状態を伝えろ』


口は悪いがやはり頼りになる仲間
橋下 悠山ーYuzan Hashimotoー

俺の代の紅蓮幹部で救護班長

橋下病院の院長の長男で
今そこで医師として研修中だ

研修中といっても今回のように患者を診ることもしばしば

腕の立つ良い医師で紅蓮のお抱え医師





軽く症状を伝え、車に乗り込んだ。