お姫様と若頭様。【完】






「はっ…はっ……はあっ!」


急いで校舎裏の人が全くいない場所へと駆け込んだ。

走ったせいか、余計に息が浅い。


蹲って胸に手を当てる。


大丈夫…大丈夫…。


よく家のこととかで考え過ぎたり
周りの目を気にし過ぎたりすると
こんな風に過呼吸になることがあった。


最近は自分が消えるんじゃないか。

そんな恐怖に襲われて
度々1人でいる時起こっていた。


対処法はわかる。



「大丈夫…大丈夫…私はここにいる」


自分がここに存在していると
思い込むこと。

それが今の私に必要なこと。


「…大丈…夫…はっ…大…んっ…」

…けどなぜか、
今日はそれで収まらなかった。





…あの漆黒の瞳を思い出すと。






まるで、私が異端な存在だと
見透かされているようだった。



「はぁっ…大丈夫……大丈夫…
ここに…いるの…ハッ…は……私…」


きっとバレてる。
私が私じゃないことくらい。

そう思うとなぜか呼吸が正常に行えなくて…意識が朦朧としてきた。




「私が…峯ヶ濱…楪……」




その言葉を最後に、
私は意識を手放した。