お姫様と若頭様。【完】


「そ、そんなことよりアラレちゃん、
この間言ってたこともう1回詳しく
教えてくれない?」

「えっ?べ、別にいいけど…」


話題を変えようと思い
この間の話に戻した。

アラレちゃんは少し戸惑っているようだけど教えてくれるみたい。


因みにこの間の話というのは、
私の席の隣の席と前の席のこと。

私が登校した時からずっと
あの席は空席のまま。

皆はあそこに誰もいないのに
なぜか全く気にしていないみたい。


「あそこの席はね、
彩狼っていうところの幹部の二人なの。

如覇 翠君と麻界 瑞君。

ゆずは知らないだろうけど、
暴走族なの。

でも皆慕っててファンも多い。

あそこは全国的にも有名で、
紅蓮までとはいかないけど
かなり強いところだよ。

幹部は特に美形揃いで
女子ファンも凄く多いの。

1度でいいからって人も多い。

それほどまで人気のところよ」


「彩…狼……」


どこかで…どこかで
聞いたことのある名前だ。


「その中でも特に人気なのが
陣宮 泪さん。

圧倒的なオーラと存在感、
何よりも整った容姿。

そして、
紅蓮総長の次に強いと言われてる。


実際対決はないようだけど。
同盟も結んでるしね」


陣宮…泪……紅蓮……彩狼…。

知ってる、私。

これを全部、知ってる。





なぜか胸の奥が酷く…ざわつく。