「じゃあ行って来る」











着替えて数分後、
零波・刃牙・達充の3人が出て行った。


残ったのは銀と準幹部・聖等-Seira-


聖等君は凄く優しい子だった。



「ヒメそっちの怪我人お願いしますね」

「ヒメ、手当て上手ですね」

「皆ヒメにお会い出来て、
とても光栄に思ってます」

「俺ら、ヒメがいたから
ここまで強くなれたんですよ」


私の不安を少しでも減らそうと
ずっと話し続けてくれる聖等君。


聖等君は救護班班長で皆のメンタル面で
サポートもするここの有力な人材だ。


そのお陰もあってか、最初の頃よりも
だいぶ気分が落ち着いた気がする。









でもやっぱり、
かなり厳しいものがある。











「聖等さん!
こいつ先に見てやってください!!」


そう言って何人かの人に運び込まれて来たのは脇腹を刺されたらしい男の子。


脇腹から大量の出血をしていて、
それ以外にも切り傷がある。




「あまり動かさずにゆっくり寝かせて。


あと止血するから何か布。


誰か切り傷の手当てをして、
病院に連れてった方がいい」


私が合図をするとすぐに動き出す皆。


さすが救護班なだけある。





「聖等、かかりつけの病院ある?」



こういう皆みたいな人たちは
普通の病院へも行けない。


だからかかりつけとか
あるかもしれないけど…。




「あぁ、あります。

ただ、少し時間がかかるんですが…」


「あんまり時間がないの。














…私のかかりつけの病院でいいかな?」



「えっ、ヒメの…ですか?」


「うん。ここから近いし腕はいいし」


何より、お金を積めば隠してくれる。



「はい、わかりました。お願いします」


「うん。

じゃあちょっと電話するね」


「はい」



ープルルル


『はい、渡河医院』


気だる気な話し方。

この人が医院長の渡河 誠-Makoto Toka-


「渡河、見て欲しい人いる。

族関係」


『報酬は通常の3倍。
わかってんだろうな?』

「うん、言い分には応じる」


『容体は?』

「脇腹を刺されてかなり出血。

その他も切り傷がある。

意識はなくて息も浅い」


なるべく正確に容体を説明すると
『早く来い』と言って切られた電話。


今頃準備してくれてるから、
もう少ししたら救急車が来るだろう。




「連絡したから大丈夫。

誰か付き添ってくれる人が欲しい。


…私はここにいるよ」


銀と約束したから。

ここから離れないって。











「なんか…怪我人増えたね?」



救急車に彼を乗せて数十分。


今だに戦いは終わらず、
外は相変わらず騒がしい。



銀もさっきまで近くにいたのに
現状確認のためかいなくなった。



「そうです…ね。


でもまぁ、刃牙さんたちがいらっしゃるんですから大丈夫ですよ」


「うん…そうだね」










今はただ、皆を信じて待つしかない。