私の世界…もとい、社交界は、
お金など利益でしか
人が動かない世界だった。


表向きはとても煌びやかで、
優雅で、まさに憧れの世界。





でも本当の姿は違う。




情に流されるなんて絶対許されず、
どこまで相手のことを読み取るか、
そんな探り合いばかりの嫌な世界。



誰よりも自分が正しいと思っている人
ばかりで、考えなしに動くことは
固く禁じられた。


スクープなんてご法度で、
そんな物が噂された日には
この世界全てに広がる。


誰よりも輝き、上手く立ち居振る舞い、
僅かなミスさえ許されない。



私はそんな世界に足を踏み入れた。





味方なんて1人も存在しなくて、
それはもう当たり前のようで。


周りが敵だらけだなんて、
普通だと思っていた。


上辺だけの付き合いなんてよくあるし、
誰もそれが卑怯で悪いことだとは
思っていなかった。


信頼なんて言葉、
この世界では通用しなかった。





私自身を偽って、
本当の自分以上に大人で、
綺麗で、
純粋で、
賢くて、
優雅で、
何でも出来る私を演じた。



皆がそうなんだから、私も悪いことを
してるとは思わなかった。








…それが後々、
私自身を壊すとも知らないで。











きっと誰か、
そんな言葉なんか信じてなくて。


自分でなんとかしなければって
いつもそう思ってた。


自分でなんとかしなければ
蹴落とされるだけのこの世界に、

親が誰だからとか言う
甘い考えなんて関係なかった。


どんなに親が優秀であろうと、
財閥や会社が大きかろうと、
今の自分が優秀でない以上、
その名は地に落ちるだけだ。