きっと皆は私がここの姫になったことを
知らない。


私がここの姫だということは
黒蓮内でも極秘事項だから。


このまま時が経って、銀っていう人も
私のこと好きじゃなくなって。


そしてまた私は峯ヶ濱に囚われて。




社長という大きな役を私が背負うの。



結婚やら何やらもみんなみんな
勝手に決められて…。

家の為だとやりたいこと全て我慢して。



我慢なんてもう、
とっくに慣れっこだから。

幼い時から我慢を強いられた私としては
家の為以外に生きるのは
きっと無理なのかもしれない。


家や仕事以外のことなんて
私には出来ないかもしれない。


私は不器用でそのくせ臆病で、
自分から新しいことを始めるなんて
きっと無理で。


だから私にとって家や仕事は生きがい。


家に囚われることでしか、
私の存在意義はないから。



今は黒蓮の総長が私を必要としていて、
私はそれに従って。


でもいつか離れる時は来る。


それは紅蓮であったとしても
変わらなかった。


もし私が家を拒否して
紅蓮に逃げ込んでも、
私は自分から家に戻ってしまうだろう。









結局は私、黒蓮がいなくたって
紅蓮を裏切ってたんだ。







なんだ、
私最初っから"裏切り者"じゃん。