「お気に入りって…何?」
やはり気になっていたこと。
お気に入りってなんの?
「俺がお前を気に入ったってこと。
そのまんま」
説明の少ない彼が私に言う。
…やはり理解に苦しむ。
こんな私のどこを
気に入ったと言うのか。
…あぁ、そっか。
私の"紅蓮の姫"って地位か…。
「お前を見た時、
絶対に手に入れたいと思った」
…手に…入れたい…?
「私が紅蓮の姫だからですか?
…助けに来ませんよ、誰も。
私が皆に信頼されているわけじゃないし
今だってヨルを…紅蓮を危険に晒して。
そんな女、誰も助けるわけないッ!」
私は涙目でキッと男を見上げた。
私を捕まえたりしなきゃ、
こんなこと自覚しなくてよかったのに。
…きっと今頃皆は私がいなくなって
清々しているはず。
…そこに私の居場所はーーない。