「琴音、ランチ行かない?」
「え?あ、はい」


いつもの業務。
お昼時になり、周りが席を立ち始めたころ、あたしのもとへ玲子さんがやってきた。


二人で飲みに行ったあの日から、急激に距離が近くなったあたしと玲子さん。

価値観や波長などが合うことが分かり、こうやってランチをともにすることも増えてきた。


「お腹空いたー。何食べる?」
「何食べましょうかねぇ……。昨日の夜、パスタだったんで、それ以外を」
「了解。……ハンバーグとかは?」
「いいですね」


意見が一致して、会社からさほど遠くはない洋食店へ。

中には数組、会社の人がいて、軽く会釈をすると、離れた席へと案内された。


「あたし、デミグラスソースで」
「あたしは……和風おろしにします」


それぞれ注文をとったあと、玲子さんは大きく伸びをしていた。


「あー疲れるぅ……。
 まだ木曜日かぁ。あと一日!」

「玲子さん、最近毎日遅いですよね」

「そー。そういう琴音も遅いじゃん」

「はい……」


あたしは、新企画プロジェクトを……。
玲子さんはもうすぐ締め切りの広告案を……。


ということもあり、
お互いに毎日終電クラスだった。