そっと優しく  抱きしめて

俺は夢限ドットコムの受付嬢をからかってやった。

アポ無しで兄貴がいる社長室のドアの前まで歩いた。

どう切り出すか、単刀直入でいくしかないな、と思った。

コンコン、一応ノックした。

「どうぞ。」兄貴の声だ。

「ウッス!」

「貴弘、何の用だ?」

「何だよ。まだ座ってもないじゃん。」

「座って話すほどの用じゃないんだろ?」

「華井莉花って女のことで、ちょっと。」

案の定、兄貴は俺に鋭い視線を向けた。

「彼女がどうした?」

「いや、別に。社の人間かと思って。」と俺は適当に言った。

「だったら何だ?」

「あの女が俺の隣りに住んでいるのを知ってたかと思って。」

「・・・・・」

返事無しかよ。