旅先は香港だ。

私は荷造りしながらワクワクした。

単独でもツアーに参加できた。

フリーで見て回りたい所を下調べするのでさえ楽しかった。

何か思わぬ発見とか、想像もつかないようなインスピレーションが沸くような気までした。

これこそが休暇の醍醐味なんだと実感できた。

野瀬さんが私に望んだことはこのことだった。

とても充実した3泊4日を過ごせた。

お土産をどっさり買ってしまった。

パールシルク地にゴールドとシルバーの刺繍が控えめに入ったチャイナドレスを着て帰った。

襟がスタンダードタイプでなくボレロ風で、胸元に切り込みが大胆に入って胸の谷間がチラリと見えてしまうけれど、香港帰りの今の私には大したことではなかった。

気持ちが高揚して抑えられなかった。

マンションのエレベ-ターを6階で降りた。

キャリアーバッグをコロコロ引き、肩にショルダーバッグを下げて、もう片方にお土産を入れた大きなペーパーバッグを持っていた。

朝の便で飛んできたので帰宅したのは昼だった。