眠り姫の呪い

暗い暗いそれは、なにやら人の形をしている。


しかし、真っ暗で、真っ黒で。


誰の顔をしているかが、判別することができない。


「貴方、何者……?」

『私ぃ?私はね…』


暗い暗いそれが、私の疑問に対する答えを言おうとした瞬間。


バンッと病室の扉が開いて、私のお母さんが飛んで出てきた。


「愛、愛!嗚呼、良かった!無事だったのね!!愛!!」


そして、私を強く強く、優しく抱きしめた。


「お母さん…」


でも、私はさっき見えた暗い暗いもののことで、頭がいっぱいいっぱいだった。