「柑奈。」


優しく私を呼ぶ声。

その声に、私は振り返る。


『伊月兄。話は終わったの?』

「あぁ。姫なんだろ?別に席を外す必要はなかったのに。」

『まぁね。』


そこまで話して、もたれていた手すりの

方に顔を向ける。


綺麗な景色。やっぱり、屋上は好きだ。



「綺麗だな。」


いつの間にか隣にきていた伊月兄も

つぶやいた。


『うん。』