合宿の話はどこへやらで、わたしはカバンからいつも持ち運んでいるゲームをとりだす。
「あ、これ知ってるー!よくCMしてるの見るよ!」
「これはわりと簡単だし、やりやすいと思うからこれやろっか」
「うん!楽しみ〜」
隣でわくわくしているカズくんを見ていると、なんだか自分に弟ができたみたいでわたしまで楽しくなって来た。
わたし一人っ子だし、兄弟がいる子が少しだけ羨ましかったんだよね。でもまあ、今考えれば一人っ子でよかったかなあって思う。
だってすきな食べ物も、すきなゲームも、すきな服も全部自分の物。誰かに取られたり、食べられたりすることないんだって思えば一人っ子の方が楽かもしれない。
「カズくん用にデータ新しく作ってあげるね〜」
「ほんと!やったぁ!」
「横で簡単に説明するからまずやってみて」
「はーい、リリせんせ!」
でも、こんなにかわいい弟なら欲しかったなってカズくんを見て思ったり思わなかったり。

