「別に、ビビってませんけど」
「ふぅん…」
いい加減、この人の腕の中から抜け出そう。さっき投げ飛ばされてからずっと抱きしめられてるし。
そろそろ恥ずかしい。男の人に対する免疫ないっす。そう思ってもぞもぞと腕の中で動くが、一向に離してもらえる気配がない。
「あの…、離してほしいんですけど…」
わたしがそう言うとそいつはにこっと笑って口を開いた。
「じゃあ、離すかわりに名前教えてよ」
「新手のナンパですか。わたしそーゆうの興味ないんで」
いきなり名前を聞いてきた変態野郎に離せ、と言わんばかりに自分の腕に力を込めると男の方も逃さんと対抗してきた。
このやろう…!!
「言うまで離さないよ?」
にっこり。そんな効果音がつきそうなほどの笑みで言われた。
ふざけてるこいつ!だれがあんたみたいな変態野郎に名前なんか教えるかっ!

