「ああ、確かに。獅狼、聞いても教えてくれなかったしね。リリなんかあった?」
「え、何も…ないと思うけど…」
「ま、リリに聞いてもわかんないか」
さりげなく貶されたような気がしたけれど、黙ってカズくんの言葉に耳を傾けていた。
「でも、あんな楽しそうなシローははじめて見たよ」
「リリちゃんと出会って、悪い事ばっかでもないみたいだしな」
「……」
よしよし、と頭を撫でてくるユーマにわたしは何も言えなかった。
わたし…、何もしてないし。むしろ居てもいい事なんてないのにな…。
ふと視線を上げ、獅狼を見るといつの間にかこっちを向いて歩みを止めていた。
「あれは“おせぇ”ってまた怒られるやつだね」
「シローってほんとせっかちだよね」
…確かに、腕組んであきらかにイライラしてる様子だし。
これは早く行った方がよさそう…。

