ピタリ、と止まるわたしの足。


また…そんな冗談…!


そう言って笑って誤摩化したかったけれど、そんな冗談を言える雰囲気じゃなかった。


それはカズくんの表情が物語っている。



「シローの口から聞くのが一番いいんだけど…」


「これバレたらオレらケツバット食らうかもな」




ケラケラと楽しげに笑うユーマだけれど、わたしはそれに笑う余裕はなかった。




「シローは、元々家出してこの街に来てたんだ」


「詳しい話はオレらも知らないけど、シローの家はいろいろ複雑らしくてなぁ…。本当は中学出てすぐ働く気だったみたいだけど」


「…なんで、今の高校に?」




こんなこと聞いてごめん、と心の中で獅狼に謝りじっとユーマを見つめる。




「それも、ネネさんのおかげ」


「シロー、今はネーネのところに居候してるんだ。だからネーネには頭が上がらないんだよ」


「………」