たいした怪我もしてないし、むしろ今の今まで何があったのかいまだに状況がつかめてないし。
とりあえず、
「ありがとうございます…?」
一応助けてもらった?んだしお礼は言っとかないとと思いそう言った。
「何で疑問形なんだよ」
わたしの疑問形のお礼がどこか面白かったのかくくっ、と喉を鳴らして笑う目の前の男に少し見惚れた。
暗闇であんまり顔見えなかったけど、少し明りに照らされたその顔はとても整っていた。
こいつ…結構かっこいいぞ…。さっきは“それ”呼ばわりされたけど。
「あんまり夜は出歩かない方がいいぜ。さっきみたいなヘンな輩がいるからな」
「はあ…」
あの、だから、あんまり状況把握してないんですけど…。
「おまえ、さっきから大人しいけど何…もしかしてビビった?」
ニヤリ。さっき男に見せた顔と同じ、ちょっと見下したようなそんな顔。でもちょっとバカにされた感じがあってすんごいむかつく。

