「はしゃいでんじゃん。名前、忘れたけど。いつも楽しそうに話してるでしょ、男と」
「は!?男!?」
「そう。おまえの周りにいる唯一の男」
わたしの周りに唯一…?頭をフル回転させそこでパッと出てきたのはわたしの隣に席にいるアイツだった。……松原のことか!!
獅狼の言う“男”が理解できた瞬間「ありえない!」と全力で抗議した。
「あいつはただのゲーム仲間だし、何よりあいつを良い奴だとか、友達だとか思った事は一度もない!!」
「そうなの?はたから見ればお似合いよ、ゲーム好き同士で」
「うるさいばかッ!次そいつの話題出したら殴るから!!」
二の腕を思い切り引っ張ってやれば「痛い痛い」と言うけれど、その顔はどこか嬉しそうで…。
「え、何で笑ってんの気持ち悪い」
「よーし。おまえに俺の必殺技かけてやるよ」
特別にな、と笑う獅狼から逃げるように手を放し走れば後ろから鬼が追いかけて来る。
ほんとのこと言っただけなのに…。
なぜか獅狼から逃げながらわたしはスーパーに入ったのだった。

