「ちょ…っまた…!」
不意打ちに握られた手。獅狼のすること全部が、わたしにははじめてで、もう…どうしたらいいかわかんないから、心底焦る。
「おまえん家、今日の晩飯何?」
「はっ?…さ、さあ、聞いてない」
「聞いとけよ。…あー、腹減ったなぁ」
マイペース…。
繫がれた手を見てから、獅狼の大きな背中を見つめた。肩幅、広いなあ。手、ごつごつしてて男っぽいし…。
この手で、いろんな人助けて来たのかなぁ…。なんてぼーっと考えていると獅狼が振り返り「なんだよ?」と聞いて来た。
「な、なにが…」
「だって急に静かになるから」
「わたしはいつもこんなんですけどっ」
「嘘付けー」
クラスの奴といつもゲームの話ではしゃいでんじゃねーかよ。
そう言われて「はしゃいでない!」と反論すると獅狼は面白そうに笑った。

