するとカズくんは困ったように笑って「リリ…」とわたしの名前を呼んだ。
「ま、ふたりがいなくてもいーじゃん。俺がちゃーんと家まで送り届けてやるからよぉ?」
「ひ……」
わたしの肩にガシッと腕を回して、ニンマリと笑う獅狼の顔が恐すぎてやばい。さっきの膝カックンまだ根に持ってる…。
殺されるぅぅ……。
「シロ。リリちゃんに何かしたらあたしがぶっ殺すわよ」
「安心しろ。こんなチンチクリンに頑張っても勃たねぇから」
わたしの肩をポンポンと叩いては、にやにやとあざ笑う獅狼。
はああん!?マジで殴っていいかなこいつ!?
「別にあんたに送ってもらわなくても結構です。ひとりで帰れるので!!」
殴ったら後が怖いから一応やめておく。だってこうやって普通に接してるけど、相手は街の治安を守る正義のヒーローでしょ?
たかが一般人の、しかも女のわたしが男のこいつに適うはずもない。ばかなわたしでもそのくらいはわかる。

