何か言おうとした獅狼の言葉を寧々さんが遮って、残念そうな顔で言った。
「はい、お母さんにまた買い出し頼まれちゃって…」
「そう…。じゃあまた明日も来てね!」
それは獅狼がいい、って言えば来ますけどね。その言葉を飲み込んで「はい、ぜひ」とにっこりと笑った。
「じゃ、シロ。ちゃんとリリちゃん送ってね」
「また明日ねー、リリ」
ひらひらと他人事のように手を振るユーマとカズくんにわたしは訝しげな視線を向けた。
「え…ふたりとも送ってくれないの?」
「え~、送ってあげたいけど寒いし」
「オレ、ビール飲みたいし」
ユーマは缶ビール片手ににこやかに、カズくんはセーターの袖を最大まで伸ばしてカウンターの上で寝ようとしている。
……な、なんて薄情者たちなんだ!!まさかカズくんにも見捨てられるとは思ってなかったぜ…。
「カズくん…」
ちょっと涙目で、お願いするようにカズくんの名前を呼んで見つめた。

