すると先にお店に入っていた獅狼が出てきて、小さくため息をついた。




「おっせぇな…」


「シローが先に行っちゃうからでしょー?」




至極不機嫌な顔でわたしをピンポイントで睨んでくる獅狼を、睨みかえせば「チッ」と舌打ちをされる始末。


なんなのこいつ…!ほんとさっきからムカつくなあ!なんでわたしを見るたび喧嘩売ってくるの!?




「まあでも、シローも珍しいよね。astreに女の子入れるなんてさ」


「初めてだろー?なんかそう考えるとやべぇよな」


「……は?」




astreに女の子入ったことないの…?今まで一度も?


そんな怪訝な顔をカズくんに向けると、その視線に気づいたカズくんがニコッと笑った。




「大丈夫だよ。シローがいいって言ってるんだし」


「…いやいや、あいつなんにも言ってなかったよね?むしろわたしのこと睨んでたよ?」


「シローの照れ隠しだよ」




…いや、どんな照れ隠しだよ!