歩きながらメールを見ると、獅狼からだった。


珍しいな、なんて思いつつメールを確認しようとした時…───




「アンタ、“クイーン”の霧谷璃々?」


「へ…?」




聞き慣れない声と、見慣れないその人。誰かも知らないのに、わたしの名前を知ってるその人。


“クイーン”なんて…、わたしは知らない。“クイーン”がなんなのかも、どんなものなのかも知らない。


わたしは…“クイーン”なんかじゃ、ない。




「誰…、ですか?」


「俺が聞いてんだよ。お前は、霧谷璃々か」




再度、そう問われた瞬間背筋が凍った。頭の中で、警告音が鳴り響く。


この人に、近付いてはいけないと。絶対に、名前を教えてはいけないと。




「ち、違います…」


「あ?」


「ひっ、人違いです…!」