みんなが海に入ってても、わたしだけ浜辺でみんなが楽しんでるのを眺めてなきゃいけないのかって思うと嫌になる。


わたしだって本当は海に入りたかったし、遊びたかった。ていうかあれは絶対にあんな道を選んだ先生たちのせいだ!


…なんて言ったって何も変わらないんだけれども。




「おい」


「へっ?」




獅狼に声をかけられたから、そっちを向こうとしたら小声で「こっち向くな」と言われた。


じゃあなんで呼んだの!?




「トイレ行きたいって言え」


「は?」


「いいから早く」




え、何それ。獅狼がただ行きたいだけなんじゃないの?


怪訝に思いながらわたしはえりの服を引っ張り「ちょっとトイレ行ってくる」と言った。