「…おまえ、意外に胸あるんだな」


「………………」




は?、と出かかった言葉を飲み込み今の状況を思い出した。


不可抗力とはいえ、わたしは今獅狼の腕にしがみついたまま。必然的にわたしの胸は獅狼の腕に当たるわけで……。




「ばっ!ばばばばっかじゃないの!?!?今この状況でそんなこと思う!?」




もう一度ばかじゃないの!?と叫んでから獅狼の腕を思い切り殴った。


こんなときに普通そういうこと言う!?頭おかしいでしょ!!!




「いってーな…。ほんとの事言っただけだろ」


「別に言わなくていいし!頭おかしいんじゃないの!!」




獅狼の腕を離してひとりでひょこひょこと歩けば後ろから「あぶねーぞ」と声をかけられる。