いきなり話始めた獅狼にわたしはきょとんとした。




「…おまえ聞いたろ。なんでこんな格好してんだって」


「あ…うん」


「中学の頃から俺ら、顔が割れてたから。そのままでいると高校生活にも影響出るだろうからって寧々に目立たない格好しろって言われたんだよ」


「寧々さんに…?」




そういえばそんなこと寧々さんが言ってたような…。寧々さん…すごいな。みんなのこと今後のこと考えて…。


本当に獅狼たちのことがすきで心配で…。まるでお母さんみたい。




「俺らは嫌だって言ったんだけどな…。寧々がこの格好しなきゃもう出入り禁止とか言いやがるからしょうがなく…」


「ほんと、寧々さんには頭が上がらないんだね…」




クスクスと笑えば、獅狼はでっかい溜め息をついて…でもふっと笑った。





「ああ…上がんねぇな。あいつの家が、俺らの家みたいなもんだからな」




そう言った獅狼の表情がとても穏やかで、そんな顔をさせられる寧々さんを少し羨ましいとも思った。


……は?なんで“羨ましい”??