「いってーな!」


「調子乗るんじゃないよ。今はただの地味男子のくせに」




そう言うと前髪から覗いた獅狼の目がぎょろっとこっちを睨んだ。


……その格好でもKINGのオーラは醸し出せるんだね…。




「落とすぞ」


「ごめんなさい嘘です。かっこいいですシロー様」


「ん、よろしい」




満足げに微笑んだ獅狼はわたしの歩幅に合わせてゆっくりと歩いてくれた。獅狼のおかげで歩くのはだいぶ楽だったけれども、みんなよりも幾分か遅れてしまっているわたしたち。


早く歩くこともできないし、焦ったところでまた足が悪化してしまっては獅狼がいてくれている意味が無い。




「焦んなくても大丈夫だ。帰る場所はみんな一緒だから」




それを読み取ったのか獅狼がそう言ってわたしは小さく笑った。




「焦ってるように見えた?」