「痛いなら痛いって素直に言え。俺は絶対おまえを置いてなんか行かないから。俺がおまえの支えになってやるから。だから…一緒に行こうリリ」


「……っ」




獅狼はわたしを優しく包み込むようにぎゅっと抱きしめ、ゆっくりと頭を撫でてくれた。おかげで少し涙目なわたし。


初めて…名前呼んでくれた…。


なんなんだよ…。さっきまで機嫌悪くて素っ気なかったくせに……なんで…。




「なんでこういう時に優しくするんだよぉ…っ」




痛いよ、辛いよ、疲れたよ。本当は歩くのもやっとで…みんなに遅れながらついて行くのも必死だった。足を引きずるにしてもこの足場じゃ転けるのが目に見えてる。


それにちゃんと歩こうにも坂道ということもあってさらに歩幅が小さくなってしまう。




「俺は…、正義のヒーローだからな」




そう言ってにかっと笑う獅狼にわたしは数秒遅れてぷっと吹き出した。


正義のヒーローって、なにそれ。