行きよりも楽な帰り道。…のハズなのに、足元が悪いせいで下り坂で何度か転けそうになっていた。それはわたしだけじゃなくて、いろんな子が石につまづいたりすべったり…。
なんで先生たち、こんな足場の悪い帰り道を選んだんだ…。いつか誰かが落ちてもおかしくないぞ…。
そう思ってふと横を見るとそこは下の見えない崖。こんなところに落ちたら、ひとたまりもない。下を見るだけで、ぞっとする。
「おい」
「わっ」
不機嫌そうな声とともにぐいっと引っ張られる腕。驚いて首を後ろに向けると獅狼の目と目が合った。
「あんまよそ見してっと落ちるぞ」
「……ごめん」
お互い小声でそう言えば、掴まれた腕はパッとすぐに離され獅狼は先に行ってしまう。
相変わらず素っ気ない態度にむっとするがそれが獅狼だと、自己完結をした。

