今のわたしに獅狼と話す余裕はないしさっき「関係ない」と言われたことをまだ根に持っているから、わたしはその声に反応しなかった。
「……」
わたしが反応しないでいると獅狼も諦めたのか、それ以上は何も言ってはこなかった。
なんだよ…。言いたいことあるなら言えばいいじゃん。
「リリ見て!もうすぐ頂上だよ!」
「へっ…」
えりにそう言われて少し顔を右にずらせば地上からは見えない景色がそこに広がっていた。
「うわ〜すごい…」
「でしょ!あとちょっとだからがんばろ!」
「うん!」
はい、と差し出された手を笑顔で握り返せば横からは小さな舌打ちが聞こえてきた。
けっ!獅狼なんて知らないもんね!!

