「林堂くん、もしリリがへばった時はお願いね〜」
えりがくるっとこっちを向いて獅狼にそうお願いすると、獅狼は小さく縦に頷いた。
は!?なんで獅狼にお願いすんの!!いや隣にいるから仕方ないってのもわかるけれども…!!!
「へばってないんだけど!?」
「だからへばったときって言ったでしょ〜」
「………」
ぐっと、言葉を飲み込んでちらっと獅狼の方を見ると余裕そうに坂道を上っていた。
その横顔にもちょっとイラッとした。
なんでそんなに余裕なわけ?いつも喧嘩してるから体力があるってのはわかるけれど、そんな格好してまで素性を隠す理由ってなんなの?
もう獅狼のこともKINGのことも…なんでこんな格好をしているのかも、まったくわからなくなってきた。
「……なあ」
だいぶ歩き疲れて息も絶え絶えなとき、獅狼が小さな声でわたしに話しかけてきた。
急なことに一瞬、びくりと肩が跳ね上がる。

