「リリちゃん、そろそろ帰らなくて大丈夫?」




寧々さんが時計を見ながらそう言って、わたしは店に掛かっている時計に目を向ければもう20時37分を指そうとしていた。




「あ…やばい帰らないとお母さんに怒られる」




鬼の形相をしたお母さんの顔が脳裏に浮かぶ。




「いつも遅い時間になっちゃって大丈夫?怒られない?」


「あ…まあ、大丈夫ですよ」




なんとかいつもえりと勉強してるって誤摩化して納得させてる。まぁたぶんもう嘘だってバレてると思うけど…。




「今日は獅狼に送ってもらったら?その方が親御さんも安心するでしょう」


「はあ?何で俺が…」


「え〜、でも獅狼くんに悪いですよ〜。カズくんやユーマにもいつも送ってもらっちゃってますしぃ〜」




申し訳ないですよぉ〜、なんてぶりっ子して言えばユーマとカズくんには爆笑され寧々さんには穏やかにクスクスと笑われた。