手に入れたいのはお前だけ。




だってあたしは……。



授業中にも関わらず、あたしはカバンの中からコソッと手鏡を取り出した。



そこに映るあたしは、伸ばしっぱなしの髪に、特徴のない顔。



ただの普通の女の子で。



取り柄だってないし、特別優しい心を持ってるってわけでもない。



可愛いわけでももちろんないし、クラスの人気者ってわけでもない。



深高くんみたいに輝くものを何も持ってない。



……こんなの、全然釣り合わないよ。



なんで深高くんはあたしのこと、好きだって言ってくれたんだろう。