手に入れたいのはお前だけ。




「Xに3を代入すると…………」



頬杖をつきながら、ぼーっと窓側を眺める。



嫌いな数学の時間でさえも、今となってはあたしの大好きな時間になった。



だって……



「ここ、深高答えてみろ」



「ーーーはい」



深高くんを見ていられるから。



茂木くんのことがあったあの日、深高くんが手を引いてくれたからだ。



深高くんを意識しだしたのは。



それまでは本当に、茂木くんの隣にいる人だとしか思っていなかったから。