手に入れたいのはお前だけ。





「ねえねえねえ、さっきなに話してたの」



席に戻ると、先にお弁当を広げた美喜ちゃんが好奇心旺盛な瞳であたしを見ていた。



これは、さっきの完全に見られてたな。



「な、なにって?」



「さっき教室の入り口で、深高くんと茂木くんと話してたでしょ」



一応聞いてみると、案の定美喜ちゃんは見ていたみたい。



「話してたっていうか……」



一方的に茂木くんがひとりで話してるみたいなものだった。



なんだか不思議な感じだった。



好きだった人と、話をすることが。