「俺もこんなにわがままな子だとは思わなかった。もっと物分かりのいい子かと」



「だからって、浮気は話が違うでしょ!!」



「あんなの浮気に入らないよ」



「はぁ?!」



特定の人を作らない奏太が、彼女を作ったことは意外だった。



まあうまくいくとは思わなかったけど、俺のその考えは間違ってはいなかったみたいだ。



現に今、その危機にある。



「キスしといて、何が浮気とはいえない、よ」



「キスは挨拶と一緒だろ」



「信じられない!!!」



パンッと廊下に音が響いて、近くにいた俺は思わず目を閉じた。