手に入れたいのはお前だけ。




いつも見ていた深高くんは、教室で茂木くんの隣にいた。


いつも気だるそうで、ヘッドホンで音楽を聴きながら机に突っ伏していた。



特になにかに興味を示したりしない、そんな印象だった。



まさかこんなに優しい顔で笑うなんて、知らなかった。



みんなも知らないのかな……?



ってそこはあたしが気にすることじゃない。



「千澄……?」



「は、はい!」



「帰ろうか?」



「え?!」



いっ、一緒に帰るってこと!?



それは初めてのことだ。
今までは別に帰っていたから。