手に入れたいのはお前だけ。





「深高くんのおかげだよ」



そこまで言って、あたしはハッとした。



ーーーあ、手。あたし、手握ってる!!



「あっ、ごっ、ごめん……!!」



慌てて離した手。なんだか熱いよ……。



「千澄ってほんとに面白いな」



「え?」



「目が離せなくなる……」



そう言うなり、深高くんの指があたしの頬に触れた。



「ふぇ…………っ?!」


メガネの奥の熱い瞳が、あたしを見つめる。



あの日、茂木くんのことで涙を流したあの日とは違う、熱を帯びて潤んだ瞳。