こんなに気になってしまうのは、 あの子があまりにも危なっかしくて。 ひとりじゃなにもできそうにないから。 良心からだと、思ってた。 でも、違った。 あの子を見続けて一年経とうとしていたある日。 あの子の傷ついた顔を見てしまったとき。 走り去るあの子を、俺は思わず追いかけた。 どうしてあの子が走り去ったか。 理由なんて見ていた俺にはすぐにわかった。 奏太だ。奏太が女とキスしてた。 その現場を、あの子は ーーー千澄は見たんだ。