今から一年前。高校一年生の春。 特になにか目標があるわけでも やりたいことがあるわけでもなく。 ただなんとなく来たこの高校。 声をかけてきてくれてすぐに打ち解けた 学校の人気者の奏太。 そんな奏太をいつも見ていた女の子。 奏太といつも一緒にいた俺は、 その子を見るのが習慣になっていた。 奏太を見るなり目を輝かせて 目が合ったと思えば頬を赤く染める。 失敗しては落ち込んで、気づけば大きく笑っている。 見ていて飽きない、そんな子だった。