手に入れたいのはお前だけ。




「……で?きっかけはなんなの?」



ずいっと寄ってきて、
奏太が俺の肩に手をおいた。



「きっかけ?」



「その子と近づいたきっかけだよ」



ーーああ、そのこと。



「きっかけねー……」



「勿体つけてないで教えろよ!」



早く聞きたいのか、答えをせかされる。



きっかけと呼ぶべきなのかどうか
俺にはよくわからないけど。



初めて千澄を見た日のこと
俺はよく覚えてるよ。



あれは今日みたいに気持ちいいほどの青空で
さわやかなほどに風が吹いていた。